昨年より、滋賀県大津市にある「仰木(おおぎ)の棚田」の保全を目指した取り組みを始動しました。
昨年の試験醸造を経て、本年本格醸造を開始。新年度醸造分の蔵出しを開始します。
萩乃露のある滋賀県の琵琶湖西岸地域には数多くの棚田があります。琵琶湖と山並みに挟まれた湖西地域ならではの、先人たちの営みが築き上げた特長です。しかし、棚田は傾斜地ならではの厳しい耕作環境や山に住む獣による作物の被害などで耕作放棄地が増え、存亡の危機にあります。
そのため萩乃露は、「純米吟醸 里山」を通じて滋賀県唯一の「日本の棚田百選」である「畑(はた)の棚田」の保全に取り組んできました。
「美里」は、20年以上にわたり「里山」に取り組む中で磨き上げた棚田米で美酒を醸す醸造技術を駆使して、「仰木の棚田」で栽培されたキヌヒカリを使い、ここでしかできない日本酒造りに取り組みました。
「仰木の棚田」は滋賀県大津市、延暦寺で有名な比叡山の麓にあります。一面に広がる棚田と眼下に望む琵琶湖の景色は唯一無二。 この美しく雄大な景色から、お酒を「美里」と命名しました。
「美里」では貴重な棚田米を無駄なく使用するため、あえて精米をしすぎない低精白米を使用しています。具体的には「里山」では原料米のコシヒカリを精米歩合60%(玄米の周りを40%削り落とした状態)で使用していますが、一方の「美里」では精米歩合80%と弊社で最も精米しない白米を使用しています。20年前に望んでも出来なかった低精白米での酒造りがようやく実現しました。
一般的に米は精米するほど美味しい酒になると思われています。確かに低精白米は雑味の多いクセのあるお酒になりやすく、美味しく醸造するには高度な技術を要します。しかし、これまでの試行錯誤で培った萩乃露の多様な ノウハウを組み合わせ、透明感のある旨味とキレが調和した味わいが実現しました。
低精白米の採用に加え、2つの異なる製法で全く異なる味わいの2つの「美里」を造ることに挑戦しました。吟醸酒を思わせる滑らかな口当たりで飲みやすい「なごみ原酒」、ほどよい米の旨みが感じられる和食から洋食まで幅広い相性のさっぱりとした「辛口」。同じお米から生まれたとは思えないそれぞれの個性をもったお酒で、2品とも食中酒として最適です。
これからも棚田保全に取り組んで参りますので、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。